ブラウン・バニー [DVD]

ヴィンセント・ギャロは好きです。
これ観てもやっぱり好きですね。幻滅するひともいるかもしれませんが。
監督兼主演としては、前作『バッファロー'66』で有名な彼。
この『ブラウン・バニー』はあのイメージを持ったまま観ないほうがいいです。私も『バッファロー'66』があまりに好きなため、コレ観始めて最初はちょっと肩透かしくらった印象でした。けれどあくまでもそれは最後まで観る前の話。
車で旅をするバイクレーサーである主人公バド(ギャロ)の視点に絞って、車窓からの風景や彼の横顔や、立ち寄る先々での女性達とのささやかな邂逅を追う。劇中に流れる曲たちは、そのままバドの心情をあらわす歌詞のようです。あっさりと異常に静かに進行してゆく映像世界に、ただのアート映画かと思ってしまったほど。
事実、彼の映像は映画であってもどこか写真ぽいというか、どのシーンを切り取っても静止画としても充分美しいと思います。
物語のキーとなるディジーという女性の役はクロエ・セヴィニーという女優さんが演じています。『ドッグヴィル(asin:B0002AP1WK)』での村娘役が印象に深いひと。他に劇中には女性が3人出てくるのですが、皆、花の名前になっている。これがちょっとした暗示というか比喩になっています。
皆んなキレイで素敵だけれど、やっぱり自分が求めているあの花とは違う、というような…。
率直にいえば、ラストシーンを観るまでは本当に意図が見えづらい映画でした。
これ、カンヌで超ウケたらしいんですよねー。その過激な描写が原因で米国では成人指定だったとか。日本ではR-15ですが。
だからといってみょーな期待をしてカップルとかで観ないほうがいいですよ、ホント。
ウチも、途中の展開に退屈したのか、殿は半分もみないうちに寝てしまいましたがそれでよかったのかもと思った。
バイクが好きなひとは、レーサーとしてのバドを描いたシーンを面白いと思うかもしれませんね。私はまったくわかりませんが、バドはホンダのXR250に乗っています。
ラストの衝撃が大きいだけに、なぜ大半をあれほどに淡々と描いたのかが判る。そういうものすごいオチ付きの映画です。

最後に。ギャロが好きなら、くれぐれも覚悟をして観てください。

私的評価(五つ星が最高)

  • オシャレ度 ★★★★★
  • 難解度 ★★★★
  • ラヴ度 ★★★★★